会社ガチャ・担当者ガチャはAI時代も終わらない
こんにちは、株式会社LeveL.L代表の伊藤です。
web業界には昔から「担当者は誰になるのか」という問題があります。これがAIの台頭によってなくなるんじゃないか、AIに聞けば最適な発注ができて、今まで起きていたミスマッチそのものがなくなるんじゃないか。そういう仮説をよく耳にします。そもそも「web業界の人材への外注自体いらなくなるんじゃないか」という声もありますね。
今日はここに関して、完全なポジショントークをしようと思っています(笑)あとは少し未来の話、予想ですね。
個人事業1年、法人化してから約2年の私が「会社ガチャ・担当者ガチャとweb業界の未来」について書いていきます。
会社ガチャ・担当者ガチャとは何か
まず「会社ガチャ・担当者ガチャとは何ですか?」という話からです。
web業界あるあるなのですが、どの会社に頼んでも、担当者次第で成果は天と地ほど変わります。このガチャ問題には2つの軸があります。
1軸目:営業担当と運用担当が別
1つ目のガチャ要素は「営業担当と運用担当が別」であることです。
これは私が以前いた会社もそうだったのですが、まず営業がクライアントと商談をして契約を決めてきます。その営業から運用担当が案件を引き継ぐ流れなので、クライアントと担当者が話をするのは契約後なんですよ。
そして当然ですが、営業担当は基本的に実務をやりません。マーケができる営業がいる会社もあるとは思いますが、基本的には付け焼き刃の知識や聞いた話で営業しているので、期待値のハンドリングがめちゃくちゃ下手くそなんです。
これがどうなるかというと、期待値のハンドリングが下手くそな状態で1年間の契約を取ってきます。その後、運用担当に引き継いでから「話が違いますよね」が始まるやつですね。「思っていたより成果が出ていない」と。
期待を上回っていれば全く問題ないのですが、ほぼ9割9分悪いケースの方です。「数ヶ月でこれくらいの数字になるという話でしたけど、なんでなんですか?」と。私は詐欺と言われたこともありました。
正直なところ、そのテーマや業種業界から見れば無理だということは、ちょっとしたマーケターが調べればわかる話です。それを本来は営業担当が期待値調整すべきなんですよね。ここのガチャが1軸目です。
2軸目:担当者の割り振りがガチャ
2軸目は、営業がハンドリングした期待値が全然問題なかったとして、今度は担当者に案件が降りてくる段階の話です。
web マーケティング会社の担当者は、会社の売上規模や案件規模にもよりますが、1人あたりだいたい10社、多いところで30〜40社ほど担当しています。そこに新規案件が来ると「案件数が少ない人に割り振られる」か「研修が終わった新人に上長がついているところに振られる」、だいたいこのパターンです。
というのも、成果が出ている人は基本的に案件をずっとホールディングしているんです。解約率が低いので、なかなか新しい案件が回ってこない。回ってくるとしたら単価がいい案件や、予算が上がる見込みのある案件ですね。
ただ、ここでいう「いい人」が実力のある人かというと、また別なのがややこしいところで……。ここを話すと長くなるので、あくまで「その会社で解約率が低い人」と定義しておきます。
なのでここはガチャです。バチバチの新人が案件を持つ可能性もあれば、逆に歴5年以上のベテランに任せられる可能性もある。申し送りという形で営業に圧をかけることはできますが、正直難しいと思います。
私も代理店時代、「ちょっとレベルの高い人じゃないと難しいかもです」という営業の申し送りが付いた案件をやらせてもらったことがありますが、任された側としては「いや、これ俺で大丈夫か?」というテーマもあったりしたので(笑)
SEOにしろ広告にしろ、やること自体はどの担当者でも変わりません。変わるのは「この施策を走らせたときにどうなるか」がわかる現場感や、施策ハンドリングのセンスです。
私がよく言っているのは、SEOを好きなやつは自分でブログをやっているということです。自分でブログをやっている人は記事を強くするのがめっぽう強い。私も結構やっていたので、その辺は当たりが良かったですし、自分でも書けちゃいます。
社歴が2〜3年でも自分でブログをやるくらいSEOが好きな人もいれば、あくまで人生の中の「仕事」という括りでやっている人もいます。好きこそ物の上手なれで、前者の方がやはりSEOはできる。ここで成果が非常に変わってくるんです。
AI時代になってもガチャは終わらない
次に本題、「AI時代になってもガチャは終わらない」という話です。
「AIに聞けば発注の正解がわかるよね」というのは、この業界では半分正解で半分間違いだと思っています。
ラーメン屋探しとweb会社探しの違い
例えばAIに「豚骨ラーメンの美味しいところを探して」と聞けば、口コミやいろんな評価を調べて、いいところをレコメンドしてくれます。さらに「この店ならこのメニューが美味しいですよ」というところまで出てくるので、8〜9割は正解を出せると思います。
では、webマーケティング会社で聞くとどうなるか。「不動産でSEOをしたい、いい会社を探して」と聞いたとします。このときAIが何をベースにしているかというと、実績ページがあるか、SEOのサービスページの中に不動産に関する言及があるか、会社の歴史、コラムを書いているか。そういうところを調べて引っ張り出してくるわけです。
仮に「本当にこの会社が良さそうだ」となって問い合わせても、最終的には法人対法人の取引なので、結局さっき話した担当者に落ちるんですよ。
いかにその会社が「不動産に特化しています」「不動産SEOに特化しています」と謳っていても、問い合わせた結果、担当者が新人になるのか、5年以上の方になるのか。予算があまりない場合は、最初に話したような新人に振られがちだと思います。
結局、持っている予算に対してどれだけコミットしてくれる人・会社を選べるかという話なので、そこがハンドリングできないと、AIに聞いた意味もそんなにないという感じですね。
表面上の見分けはつかなくなる
さらに言うと、事例や記事もAIで量産できるようになってしまったので、正直、数年したら法人の表面上の見分けはほぼつかなくなってくると思います。
ホームページのデザインも、2026年8月10日時点ではAI製はまだやや低いレベルですが、それでも新しいモデルが出るたびに上がってきています。この1年でこれだけ上がっているので、2年もしたらデザインは人が作るよりAIで作った方が違和感なく綺麗になる。コーディングもできる、SEOもできるとなってくると、もうほぼ表面上の見分けはつきません。
ただ「めっちゃいいじゃん」で発注しても、最終的に担当者に落ちる。これが法人対法人取引の一つのデメリットです。結局、成果を左右するのは目の前の人なんですよね。
もちろん、成果が出ない理由をクライアント側でAIに聞いて壁打ちして、それを担当者にぶつけることである程度回収できそうな気はします。ただ、マーケティングは「正解がないアート」とよく言われます。今まで成功したことのないことをやろうとしているわけなので、過去に成功したことのある人をアサインするのが絶対に一番いい。AIに聞いたとしても、結局「これでいけると思うのでやりましょう」と責任を持つのが誰なのかという話です。
なので、結局ガチャは終わりません。
AIの進歩で「一人法人」の時代が来る
そしてもう一つ、AIの進歩によって「一人法人の時代が来る」。これもずっと言われていますが、私は確実に来ると思っています。
一人法人というのは、従業員ゼロ・役員1人だけで会社をやっている、私みたいな会社のことですね。
一人法人にガチャは存在しない
こういうところは、他の代理店にパスを投げるケースもあるにはありますが、基本的には受けた本人がやります。うちも私が受けて私がやるので、基本的にガチャがないです。
ここはちょっと売り込みになってしまいますが(笑)、営業に私が出て、運用も私がやる。つまり「営業と運用で言っていることが違う」というミスマッチの構造自体が、そもそも存在しないんですよ。
経費構造の違い
では法人と一人法人で何が違うのか。
法人というのは、営業担当の給料、運用担当の給料、経理・総務の給料、採用担当の給料。ここを支えるために初期費用があったり、月額フィーの中でも施策に回せる経費が限られてくるんです。
同じ10万円の案件だったとしても、法人と一人法人ではその案件にかかってくる経費が全然違います。1記事作るにしてもですね。利益をどれくらい取るかにもよりますが、一人法人の方が圧倒的にハンドリングしやすい。私も自分の裁量で「この月は記事数を増やす」といったことができるわけです。
先ほど「予算に対してどれだけコミットしてくれるか」という話をしましたが、まさにそこに直結してきます。
クライアント目線で言うと、SEOサービスを発注するにあたって、発注先の採用担当や総務は別にいらないじゃないですか。運用する人が1人いればいいだけです。ただ、法人に発注することでそこの経費も間接的にかかってくる。だったら一人法人に発注した方がいいよね、になるんですよ。
AIが「組織の規模」というハンデを消した
一人法人で最初に大変だった契約書回りや経理も、AIでどんどん手離れしていきます。提案資料の骨組みもある程度AIで作れてしまう。営業活動の時短によって、一人法人は全然成り立ちます。
法人の担当者が独立するケースも今後多くなりそうです。「AIを使ったら、今この給料でやっている仕事は割に合わないんじゃないか」と考える人もいるでしょうし、「自分の方がもっといいサービスを提供できる」という軸の人もいる。私は後者でした。AIは後からついてきた感じですね。「いろいろ時短できてラッキー」くらいの(笑)
つまり、組織の規模というのは、もはや一人法人にとってハンデじゃなくなっているんです。
顔が見えることが最大の武器になる
先ほど「AIに聞けば正解がわかる時代でも、webの発注先選びは難しい」という話をしました。顔の見えない法人のサイトがいっぱい出てきて、結局見分けがつかなくなる。
一方で一人法人の私は顔を出していますし、今まで何をやってきたか、上げているものと上げていないものはありますが、サイトを見れば担当者の人となりが直でわかる。これは一人法人のメリットですね。
逆に、一人法人でそう見えないようにやっている人も結構いますが……めちゃくちゃポジショントークですけど、出した方がいいんじゃないの?とは思います。出していない人が多くて、私はありがたいなと思ってやっていますが(笑)出さないと一人法人のメリットがないんじゃないかと。
私もこれから、サービスページに動画を入れたりして「もうちょっとラフに話しやすい人そうだな」と思ってもらえるようなことをやっていきます。
ここから逆算していくと、おそらく法人側も「担当者の顔をもっと前に出そう」「得意な業界をもっと前に出そう」という方向、いわゆるStockSunさんのような形に舵を切らなければならなくなると思います。ただ「従業員が顔や名前を出したくない」というせめぎ合いも発生するはずです。
なので、フリーランスを抱えている組織や一人法人など、人間とAIの見分けがつかなくなるからこそ「人間ですよ」を成立させられる会社が強くなる時代が来ます。
じゃあ発注側はどう選べばいいのか
では、発注者はどう選べばいいのか。
一つは、法人対法人の取引で「誰が担当するんですか?」を契約前に確認することです。ただこれ、逃げられる可能性も高いと思います。「社内で揉んで決めます」とか。それによほど予算のある会社じゃないと、これを言った時点で「面倒くせえ会社だな」と思われる可能性もあります(笑)
「担当者を事前に商談に呼んでもらう」という手もあり、実際そういう案件もありましたが、そもそも業務水準がめちゃくちゃ高い会社ならガチャ自体が起きないんですよね。私がいたのがそんなに高くなかっただけかもしれませんが(笑)業務水準が低い会社は、誰に頼んでもあんまりうまくいかない。
なのでオススメは、代表や会社の発信を見ることです。発信の内容としては、SEO記事のようなものではなく、もう少しマガジンっぽいコラム。まさに私が今発信しているこういうやつですね。その人の人となりを見るということです。
メディア運用が上手な会社さんだと、執筆者としていろんな担当者の方がいて、書く人の人となりがわかるようになっていたりします。そういうのを見ていただくといいんじゃないかなと。
まとめ:これからは「ブランディング対決」になる
最後にまとめです。
「ガチャを引かせない会社です」という宣言は、多分1〜2年先にはどこの会社もやってくると思います。「担当者を固定します」とか、一人法人なら「私はこういう人です」とか。つまりブランディング対決になります。
そうなったとき、「お客様に伴走して」「事業にコミットして」みたいなペラペラのライティングでやっている会社は、覚えられないので難しいんじゃないかなと。
さらに見た目ですね。全員が白い綺麗なTシャツの上にネイビーか黒のジャケットを羽織って写真を撮っている、アレ。私はすごく嫌で(笑)今、黒の半袖を着た写真をホームページに載せています。
人はやっぱり視覚の認識情報が強いので、文章を読んで頭に残すのはもちろん、写真を2秒見たときに「なんかこの人違いそう」と印象を残せるか。プラスでもマイナスでもいいんです。「すごく清潔感ありそう」でも「めっちゃ筋肉鍛えてそう」でも。ちなみに私はちょっとチャラそうに振ろうと思っています(笑)
何かしらの印象を与える写真を使わないとダメですよ、特に一人法人なら。という話でした。
長くなってしまいましたが、今日は以上です。
当社は営業も運用も代表の私が担当するので、そもそもガチャが発生しません。「今の発注先、なんだか担当者と噛み合っていないな」と感じている方は、お気軽にお問い合わせください。